NFTの税金を徹底解説|売買・二次流通・エアドロップの課税と確定申告のポイント

NFTの税金をテーマにした日本語アイキャッチ画像。NFT書類、税金ボード、コイン、猫のNFTアートを描いた柔らかいトーンのイラストで、「NFTの税金|売買・二次流通・エアドロップの取り扱い【2025】」と書かれている。
目次

NFTを取引する前に知っておきたい「税金の現実」

NFT(Non-Fungible Token)は、アート・音楽・ゲームなど、デジタル資産の新しい形として注目されています。
OpenSeaやBlur、国内ではLINE NFTやSBINFTなど、多くのマーケットプレイスで取引が可能になりました。

しかし、NFTを売買して得た利益は、すべて課税対象になります。
「仮想通貨で買っただけだから関係ない」「円に換えていないから非課税」と思う人も多いですが、
NFTは取得・売却・受け取りの各タイミングで課税が発生する仕組みになっています。

この記事では、NFT取引の税金を「売買」「二次流通」「エアドロップ」などの具体的ケースに分けて、
わかりやすく丁寧に解説します。


NFTにかかる税金の仕組みを理解しよう

NFTの利益は「雑所得」として課税される

個人がNFTを売買して得た利益は、原則として雑所得に分類されます。
日本の税法では、仮想通貨やNFTを「暗号資産」として扱い、次のように整理されています。

区分所得区分
NFT売買による利益NFTを購入→売却して利益が出た雑所得
NFT作成者の販売収益自作NFTの一次販売事業所得または雑所得
NFTエアドロップ受取無償配布トークン・NFT一時所得または雑所得

多くのケースでは「雑所得」となり、総合課税の対象になります。
つまり、給与や副業など他の所得と合算して課税され、所得が高いほど税率も上がります。


NFTの課税方式(総合課税)

NFT取引で得た利益は、以下の累進課税の仕組みで課税されます。

課税所得所得税率住民税率合計税率
195万円以下5%10%約15%
330万円以下10%10%約20%
695万円以下20%10%約30%
900万円以下23%10%約33%
1,800万円以下33%10%約43%

NFTの所得は累進税率のため、高額取引ほど税負担が重くなる点に注意が必要です。


NFT取引で課税されるタイミング

NFTに関する税金は、主に次の3つのタイミングで発生します。

タイミング内容課税の有無
① NFT購入時仮想通貨でNFTを購入仮想通貨の譲渡益が課税対象
② NFT売却時NFTを売却または交換売却益が課税対象
③ エアドロップ・報酬受取無償配布・特典NFTを受取受取時の時価が課税対象

多くの人が「NFTを買っただけだから関係ない」と思いがちですが、
実は購入時点で使った仮想通貨の含み益が確定して課税対象になることがあります。


① NFTを購入したとき

NFTの購入代金を仮想通貨で支払う場合、
その仮想通貨を「売却した」とみなされ、**譲渡所得(雑所得)**が発生します。

例:

  • ETHを1ETH=30万円で購入
  • NFT購入時にETHの価格が1ETH=50万円
  • →(50−30)×1=20万円が課税対象

NFTを買った瞬間に、20万円の所得が発生します。


② NFTを売却したとき

NFTを売却して得た利益も課税対象です。
売却価格から、取得時の価格(コスト)を差し引いた差額が所得になります。

項目内容
売却価格NFT売却時の時価(円換算)
取得費購入時の価格(仮想通貨の時価)
必要経費ガス代などの関連費用
所得金額売却価格 − 取得費 − 経費

NFTの取引履歴が複雑な場合、ETH建てで計算してから円換算するのが一般的です。


③ エアドロップや報酬NFTを受け取ったとき

エアドロップやキャンペーン報酬など、無償でNFTを受け取った場合も課税されます。
その受取時点の**NFTの時価(円換算)**をもとに、一時所得または雑所得として計上します。

取引の種類税務上の扱い所得区分
無償NFTエアドロップ受取時の時価で課税一時所得
ゲーム報酬NFT報酬として受取雑所得
フリーミントNFT時価が発生すれば課税対象雑所得

NFT作成者(クリエイター)の税金

NFTを「作る側」と「買う側」では課税のタイミングが異なります。
クリエイターがNFTを販売した場合、報酬は事業所得または雑所得として課税されます。

区分内容税務上の扱い
一次販売(自作NFT)自分の作品を販売事業所得または雑所得
二次流通ロイヤリティ販売後に得る継続報酬雑所得または事業所得
エアドロップ報酬NFTを配布して得たトークン雑所得

事業的に活動しているクリエイター(例:継続的なNFT販売、法人運営など)は「事業所得」扱いになります。
副業レベルの場合は「雑所得」として申告します。


クリエイターに適用できる経費例

NFTの制作・販売に関連する費用は、必要経費として控除できます。

経費項目内容例
ソフトウェア費Photoshop、Blender、AI生成ツールなど
ガス代NFT発行・送付時のETH手数料
通信費ネット回線・クラウドストレージなど
プラットフォーム手数料OpenSeaなどの取引手数料
機材費PC・ペンタブ・タブレットなど

NFTアーティストはこれらの経費を明確に記録することで、課税所得を減らすことが可能です。


NFTの二次流通(転売)における税金

転売利益は「雑所得」として課税される

NFTを安く買って高く売る、いわゆる「転売益」も課税対象です。
売却益の計算は以下のように行います。

項目計算方法
売却益売却価格 − 取得価格 − 経費
課税対象売却益の全額(損益通算は限定的)

NFT取引では、仮想通貨建てで売買されるため、円換算を正確に行うことが重要です。


二次流通でロイヤリティが発生する場合

NFTプラットフォームによっては、転売時にクリエイターへロイヤリティ(ロイヤルティ)が支払われます。
これも受け取ったクリエイターにとっては所得
として課税対象です。

立場収入の内容税務上の扱い
買主転売益雑所得
クリエイターロイヤリティ報酬雑所得または事業所得

NFTコレクターが注意すべきポイント

NFTコレクターや転売目的での保有者は、購入・売却・ロイヤリティ受取をすべて記録しておく必要があります。
特に海外マーケット(OpenSea・Blurなど)では、取引履歴をCSVでダウンロードしておくのが理想です。

NFTの税金をケース別に解説

NFT取引は複数の課税タイミングがあるため、具体的なケースで考えると理解しやすくなります。

ケース①:NFTを売却した場合

内容数値例
NFT購入額1ETH(30万円相当)
NFT売却額1.5ETH(60万円相当)
必要経費(ガス代)5,000円
所得金額60万円 − 30万円 − 5,000円 = 29万5,000円

この29万5,000円が雑所得として課税対象になります。

NFTの売却益は、円換算時点の価格で利益を算出することが重要です。
ETH建てのまま計算すると誤差が生じ、税額に影響します。


ケース②:NFTを仮想通貨で購入した場合

NFTを購入する際に使った仮想通貨の「取得価額」と「支払い時の時価」が異なると、その差額が課税対象になります。

内容数値例
ETH購入時の価格1ETH=20万円
NFT購入時の価格1ETH=50万円
支払額1ETH
所得金額50万円 − 20万円 = 30万円の所得

つまり、NFTを買った時点で仮想通貨の評価益が確定し、課税対象になります。
これがNFT投資でよく見落とされる「購入時課税」のポイントです。


ケース③:NFTをエアドロップで受け取った場合

内容数値例
受取NFTの時価10万円
所得区分一時所得または雑所得
計算式10万円 × 1/2 = 5万円(特別控除50万円以内なら課税なし)

一時所得は50万円まで控除されるため、少額のNFT配布であれば実質的に課税されない場合もあります。
ただし、ゲーム報酬や継続的な配布報酬の場合は「雑所得」として扱われます。


NFT取引の記録・管理方法

NFTの税金を正確に申告するためには、取引履歴の管理が最も重要です。
ブロックチェーン上ではすべての取引が公開されているとはいえ、自分で整理しないと申告が困難になります。


記録すべき情報

項目内容
取引日時売買・エアドロップ・交換の日時
NFT名・コントラクトNFTの識別情報(OpenSea等で確認)
通貨・数量ETH、SOL、MATICなど
円換算額CoinGeckoなどでその時点の価格を参照
手数料ガス代、プラットフォーム利用料など

おすすめの管理ツール

NFT取引を管理するには、以下のような損益計算ツールを利用するのが便利です。

ツール名特徴
GtaxNFT・仮想通貨の損益を自動集計、日本円換算対応
Cryptact国内税制対応、ウォレット連携可
CoinTracking海外取引所・NFT取引にも対応、詳細分析機能あり

これらを活用すれば、ETH建てのNFT価格も自動で円換算でき、確定申告の準備がスムーズになります。


NFTの確定申告の手順

NFTの税金は「雑所得」として確定申告します。
副業や会社員でも、年間20万円を超える所得があれば申告が必要です。


手順①:年間損益を集計

取引履歴をもとに、NFTごとの取得費・売却額・経費を集計します。
複数プラットフォームを利用している場合は、すべて合算して算出します。


手順②:確定申告書Bに記載

項目記入内容例
種目NFT取引(売買・エアドロップ等)
収入金額売却・受取時の円換算合計
必要経費ガス代・手数料・制作費
所得金額収入 − 経費

手順③:e-Taxで提出

NFT取引はデジタルデータが中心のため、**e-Tax(電子申告)**が効率的です。
マイナンバーカードがあれば自宅からでも完結します。
紙で提出する場合は、損益計算書を添付するのが望ましいです。


NFT取引に関するよくある質問(Q&A)

Q1. NFTを円に換金していない場合も税金はかかりますか?

はい。仮想通貨でNFTを購入・売却した時点で課税が発生します。
円に換えなくても、取引時点での「時価換算」で所得が確定します。


Q2. 海外マーケットプレイス(OpenSea等)でのNFTも課税対象ですか?

はい。日本に居住している限り、全世界所得課税が適用されます。
海外で得たNFT収益も日本で申告する義務があります。


Q3. NFTの損失は他の所得と相殺できますか?

原則として雑所得内でのみ損益通算可能です。
株や給与所得とは通算できません。
ただし、事業所得として認められれば通算の幅が広がります。


Q4. NFTを作った人(クリエイター)はどんな経費を申告できますか?

制作に使ったソフト代・ガス代・通信費・販売手数料など、
NFT制作に直接関係する費用は経費にできます。
個人クリエイターでも帳簿をつけておくと、節税に役立ちます。


Q5. NFTの盗難・詐欺で失った資産は経費にできますか?

原則として経費にはなりません。
ただし、事業所得に該当するケースでは、損失として計上できる可能性があります。
警察への被害届やウォレット履歴を保存しておきましょう。


NFT税務で気をつけたい3つのポイント

1. NFT購入時の課税を忘れない

NFT購入時は「仮想通貨の売却扱い」となり、
取得価格との差額が課税対象です。
この見落としが最も多いミスです。


2. 二次流通ロイヤリティも所得

クリエイターが転売時に受け取るロイヤリティは事業所得または雑所得として課税されます。
マーケットからの自動入金分も申告対象です。


3. エアドロップNFTの時価は記録を残す

無償配布NFTは受取時の時価が課税ベースになります。
価格が変動しやすいため、**受取直後に時価を記録(スクショ等)**しておくのが安全です。


NFTの節税の考え方

経費を正しく計上する

NFT取引で使った費用は、経費として控除できます。
代表的なものは以下の通りです。

経費の種類内容例
ガス代Mint・送金・転売時のETH手数料
手数料OpenSeaやBlurの販売手数料
ソフト・ツール費デザインソフト、AI生成ツール
通信費インターネット回線、クラウド利用料
情報費NFT関連セミナー・有料メディア購読

長期的にNFT取引をするなら青色申告を検討

NFT取引を継続的に行っている人は、青色申告承認申請書を提出することで、
損失繰越や特別控除(最大65万円)などの恩恵を受けられます。
個人事業主登録をしておくと、税務的にも有利です。


NFT投資家が今すぐ行うべきこと

  1. 取引履歴をCSVでダウンロードして保管する
    • OpenSea・Blur・国内NFTマーケットなどからエクスポート
  2. ETH建取引を日本円換算して一覧化する
    • CoinGeckoなどで取引日のレートを記録
  3. 損益計算ツールを導入する
    • Gtax・Cryptactで自動集計
  4. 必要経費をメモ・領収書で保存
    • 税務調査時の証拠として残す
  5. 税理士または会計ソフトで申告準備
    • NFT・仮想通貨に詳しい税理士を選ぶ

まとめ|NFT取引の税金を理解し、安心して運用しよう

NFTは新しいデジタル資産でありながら、税金のルールは既に明確に定められています。

  • NFT売買やエアドロップは受取時・売却時に課税
  • クリエイターの販売・ロイヤリティも所得扱い
  • 経費を計上すれば節税が可能
  • 取引履歴を残すことが税務対策の第一歩

NFT市場は今後も成長が続く分野です。
税務リスクを避け、正確な申告を行うことで、安心して次のチャンスを掴みましょう。

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