税務署に聞かれやすい質問まとめ|取引所間移動・ブリッジは課税対象かを徹底解説

税務署の職員が書類を確認しながら、仮想通貨取引の課税を調べる様子を描いたイラスト。横にビットコインやチェーンアイコンを配置し、課税判断をイメージ。
目次

仮想通貨取引で税務署に注目されやすいポイントとは?

仮想通貨(暗号資産)の取引が普及するにつれて、
税務署による調査や問い合わせも年々増えています。
特に、最近の税務調査では次のような質問がよく投げかけられます。

  • 「取引所間でコインを移動したとき、課税されるのか?」
  • 「ブリッジ(別のチェーンへ移動)は売却扱いになるのか?」
  • 「ウォレットから取引所に戻すとき、どの時点で課税されるのか?」
  • 「海外取引所を使っているが、どこまで報告が必要なのか?」

これらは、単なる質問に見えて実は税務署が取引の実態を把握するための重要な確認項目です。
つまり、あなたの申告内容が「どのような根拠に基づいているか」を探る意図があります。

この記事では、そうした税務署に聞かれやすい質問の意図と正しい回答方法を、
税法に準拠した形でわかりやすく解説します。


税務署が質問してくるタイミングとその目的

税務署が仮想通貨の取引について質問してくるのは、次の3つの段階です。

タイミング内容対応の目的
① 事前確認申告書の整合性確認誤り・漏れの早期発見
② 書面照会所得金額や入出金の詳細確認取引実態の把握
③ 税務調査必要に応じて訪問・面談意図的な申告漏れの検証

特に仮想通貨の場合は、**「実際の取引履歴と申告金額が一致しているか」を重視してチェックされます。
その際に、最も混乱しやすいのが
「取引所間の移動やブリッジ取引が課税対象になるか」**という論点です。


取引所間のコイン移動は課税対象になるのか?

結論:単なる移動では課税されない

国内外の取引所間で仮想通貨を送金しただけの場合、
課税対象にはなりません。

理由は簡単で、移動した時点では経済的利益(利益確定)が生じていないからです。

たとえば次のようなケースを考えてみましょう。

A取引所 → B取引所へBTCを送金
送金手数料として0.0005BTCが発生

この場合、単なる資産の移動であり、売却や交換が行われていないため、
送金自体は課税対象外です。
ただし、送金手数料分のBTCを消費した部分だけは課税対象になる可能性があります。


手数料の部分だけは注意が必要

送金手数料が仮想通貨で支払われる場合、その部分は「支払い=消費」として扱われます。
したがって、次のように課税所得の対象となります。

項目内容
対象取引送金手数料に充てた仮想通貨
課税理由支払いによる資産の消費とみなされるため
計算方法手数料数量 × 支払い時点の時価

つまり、「送金自体は非課税」「手数料部分は課税」という区別が大切です。


送金履歴の保存も忘れずに

税務署が特に注目するのは、
「移動しただけ」と主張しても取引履歴やウォレット履歴で証明できないケースです。

たとえば、

  • A取引所から出金したが、B取引所への入金記録が欠けている
  • 入金までに時間差があり、価格変動が発生している

といった場合、税務署は「実際には売却しているのでは?」と疑うことがあります。
そのため、入出金履歴・ウォレットアドレス・トランザクションIDは必ず保管しておきましょう。


ブリッジ(チェーン間移動)は課税対象か?

ブリッジとは何かをまず整理

ブリッジとは、仮想通貨を別のブロックチェーン上に移動させる技術です。
たとえば以下のようなものです。

内容
ETH → Polygon同じトークンを異なるチェーン上で使う
BSC → Arbitrum低コスト運用やDeFi利用のために移動
USDT(ERC20)→USDT(TRC20)チェーン切り替えで送金コスト削減

このとき、仮想通貨そのものを「別の形式」に変換するように見えますが、
ブリッジ自体は原則非課税です。


結論:実質的な経済的利益がないため非課税

国税庁の基本的な考え方では、
**「実際に利益が確定していない限り、課税はされない」**とされています。

ブリッジは単にチェーン上の管理方法を変えるだけで、
資産価値の増減が生じるわけではありません。

したがって、ETHをPolygonにブリッジしても、
ETH→USDTのような売却や交換ではないため、課税対象にはなりません。


ただしブリッジ中の価格変動には注意

一方で、ブリッジの過程で以下のようなことが起こる場合は要注意です。

  • ブリッジ中に一度「トークンA→トークンB」に交換される
  • ラップドトークン(Wrapped Token)を経由する
  • DeFiを通してスワップ(交換)されている

たとえば、

ETH → WETH → Polygon-ETH

というプロセスで、途中に「交換(スワップ)」があると、
このスワップ部分だけは課税対象になる可能性があります。

つまり、技術的なブリッジではなく経済的な交換を伴うかどうかが判断基準です。


税務署が「ブリッジ取引」を確認する理由

税務署がこのテーマに注目するのは、
ブリッジを使って実質的な利益を隠している事例が多いからです。

たとえば次のようなケースが過去の調査で問題になりました。

ケース問題点
ETHをUSDCに替えてから他チェーンに移動一度売却益が発生している
USDTをBSC→Solanaにブリッジし、その後換金実質的な移転益を未申告
取引所からウォレットに送金し、記録が不明実態確認が困難で「申告漏れ」扱い

税務署の立場では、
「ブリッジという名目であっても、経済的価値が移動していれば課税対象」と見ます。

したがって、取引内容を正確に説明できるよう、
どのチェーンでどんな資産を保有しているかの証拠を残すことが重要です。


海外取引所間の資金移動も質問されやすい

海外取引所(Binance、Bybit、OKXなど)を利用している場合、
税務署から次のような質問を受けるケースが増えています。

  • 「BybitからBinanceに移した資金の詳細を説明してください」
  • 「ウォレットアドレスの所有者は本人ですか?」
  • 「入出金の間に価格変動がありましたが、利益はどう処理しましたか?」

これは、海外取引所間の送金が国外資産移転に該当するためです。
金額や頻度によっては、国外財産調書の提出義務が発生することもあります。


国外財産調書のポイント

対象者海外資産の合計が5,000万円超の居住者
提出期限毎年の所得税確定申告と同時期(3月15日)
対象資産海外取引所の仮想通貨・USDT・USDCなど
罰則未提出・虚偽記載により過少申告加算税が加重

ブリッジや海外送金を繰り返している人は、
「単なる移動」でも国外資産の保有証明が求められる点に注意が必要です。

税務署が仮想通貨投資家に実際に聞いてくる質問リスト

仮想通貨の税務調査では、取引履歴だけでなく「資金の流れ」や「管理状況」まで確認されます。
以下は、税務署が実際に聞いてくることが多い質問項目です。

質問内容税務署の意図
どの取引所を利用していますか?海外・国内の課税範囲を特定
取引履歴のダウンロードはどの期間分ありますか?記録の網羅性を確認
取引所間で資金移動をした理由は?売却・交換の有無を把握
ブリッジを行ったトークンは何ですか?経済的価値の移転を確認
自分以外のウォレットを使用していますか?資産の帰属(他人名義)を特定
送金した相手の情報を把握していますか?贈与・支払いの可能性を確認
国内外でNFT・DeFiを利用しましたか?間接的な所得発生の有無を確認
ウォレットアドレスはいくつ保有していますか?資産の全体像を把握

これらの質問は、単に「知りたいから聞いている」のではなく、
「あなたの申告が正確で一貫しているか」を確かめるためのチェックリストです。


税務署がチェックする「取引所間移動」の真の意図

実質的な売却や交換がないかを確認する

税務署は、単なる移動であれば課税しませんが、
以下のようなケースでは「実質的に売却した」と判断されることがあります。

ケース税務署の見方
移動の過程で別の通貨に変わっている売却益が発生している可能性
取引所間で数量が一致しない一部を処分・交換している可能性
入出金の間に大きな価格差がある移動ではなく新規取得の可能性
同一ウォレットを複数人で利用所有者不明 → 贈与扱いリスク

つまり、形式上は移動でも、実質が「売却・交換・贈与」であれば課税対象となります。
この点を正しく説明できるように、取引履歴を一貫して保管することが重要です。


質問に答えるときのポイント

税務署の質問に対しては、以下の3原則を意識するとスムーズです。

① あいまいな表現を避ける

「たぶん」「おそらく」などの曖昧な回答は避けましょう。
取引データやスクリーンショットを基に、客観的に説明することが大切です。

❌「多分BybitからBinanceに移したと思います」
✅「Bybitから2025年3月12日に送金しました。トランザクションIDはこちらです」


② 根拠資料を添えて答える

税務署は「口頭説明」より「記録」を重視します。
取引履歴のCSVやウォレットのトランザクションIDを示すと信頼性が高まります。

💡ポイント

  • 取引履歴はPDFやCSVで保存
  • 送金先アドレスを明示
  • 日付・数量・レートがわかるようにする

③ 一貫性を保つ

同じ内容を異なる形で説明すると、「虚偽説明」と受け取られるおそれがあります。
説明内容は税理士にも共有し、発言の整合性を保ちましょう。


税務署が注目する「ブリッジ」関連のチェックポイント

ブリッジに関して、税務署は次の点を重点的に確認しています。

確認項目解説
ブリッジ前後のトークン名称Wrapped形式(WETH、WBTCなど)かどうか
交換を伴っていないかDeFiスワップ経由の場合は課税対象の可能性
手数料の有無手数料として支払った分は課税対象
トランザクション内容実質的に別トークンへ変換されていないか

つまり、「技術的にブリッジであっても、交換処理が入っていれば課税の可能性」があります。
税務署はこの点を非常に細かくチェックするため、トランザクションIDを保管しておくことが有効です。


トラブルを避けるための取引記録管理術

税務署対応で最も重要なのは、「証拠の整備」です。
取引所やウォレットのデータを整理しておくことで、質問に対して即座に説明できます。

記録すべき主な情報

  • 取引所名(Binance、Bybit、国内など)
  • 取引日時(日本時間で統一)
  • 送金数量・レート・通貨ペア
  • 送金先アドレス
  • 手数料の有無
  • ブリッジの経路(例:ETH→WETH→Polygon)

保存形式のおすすめ

方法メリット
ExcelやGoogleスプレッドシート編集・整理が容易
PDF保存改ざん防止・印刷提出が可能
トランザクション履歴のスクリーンショット視覚的証拠として有効

これらをクラウド上(Google Driveなど)で管理しておくと、
税務署からの問い合わせ時にもすぐ提出できます。


税務署対応でやってはいけないNG対応

仮想通貨の調査では、悪意がなくても「不誠実」とみなされることがあります。
次のような対応は避けましょう。

NG対応問題点
「データが消えた」と曖昧に説明記録管理義務の放棄と見なされる
一部の取引のみ提出隠ぺいの疑いを招く
レート計算の根拠が不明所得金額の信頼性を損なう
税理士に丸投げ本人の説明責任が果たされない

誠実に、かつ事実に基づいて対応すれば、税務署も無理な追及は行いません。


税務調査に備えるための行動ステップ

ステップ①:取引履歴の完全バックアップ

各取引所やウォレットの履歴を年次でダウンロードし、クラウドとローカルの2箇所に保存。

ステップ②:送金・ブリッジ履歴を一覧化

「送金元」「送金先」「金額」「目的」「手数料」を表形式でまとめる。

ステップ③:説明資料をテンプレート化

税務署に聞かれたときにすぐ答えられるよう、説明テンプレートを準備。

例:

「この取引はA取引所からB取引所への資産移動であり、交換や売却はありません。
送金手数料0.0004BTCのみ課税対象として計上済です。」

ステップ④:税理士と連携して整合性を確認

税務署の質問内容に応じて、税理士と回答内容を共有。
会計データ・申告書の整合性を事前に確認しておくと安心です。


まとめ:取引の透明性が最大の防御になる

取引所間移動やブリッジは、一見複雑でも**「経済的利益が発生していなければ課税されない」**のが基本ルールです。
ただし、税務署が疑うのは「隠された利益」や「曖昧な取引経路」です。

したがって、

  • 取引履歴を完全に保管する
  • 送金・ブリッジ経路を説明できるようにする
  • 手数料・交換部分は正確に計上する

この3点を徹底することで、税務署からの質問にも自信を持って対応できるようになります。
透明性の高い記録こそ、最強の節税対策です。

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